離婚はマイナスじゃない

婚姻関係の解消である「離婚」は、原則的に当事者の希望があって初めてなされるものとされています。傍から見ていて非常に険悪な夫婦であり、別れたほうが絶対良いからと、まわりの両親や友人が勝手に離婚させることは出来ません。裁判で離婚が成立することはありますが、あれも最初にお互いの離婚の意思があって話し合いが始まり、それが合意にならなかった場合の最終的な段階として行き着くものです。あらゆる夫婦が、常に「婚姻関係を続けるか、やめるか」という選択をし続けていると言えます。一般常識では離婚は良くないこととされていますし、離婚と簡単に言っても「お金」に関してや「子供の親権」に関して、そしてその後に生じる様々な面倒ごとなどついマイナス面を考えてしまい、すでに破綻した関係であっても、離婚は決意出来ない、そんな夫婦もたくさん居るでしょう。「仮面夫婦」という言葉もあるくらいです。本来は一生添い遂げるという約束として交わされたはずの結婚生活が、お互いの我慢と妥協、そして偽りの仮面で表面上だけ維持される関係になってしまうのは、皮肉な話と言えます。

離婚によってもたらされる「マイナス面」を気にしすぎるあまり、それを決心出来ないのもまた、ある意味では大きなマイナスと言えないでしょうか。離婚によって生じるプラスも少なからずあります。それがあるからこそ、本来は非常に強力な契約であるはずの「婚姻関係」を途中で解消出来る手続きの「離婚」が存在するのです。一度悪化した関係を再び修復するのは困難です。経年や生活環境の変化によって変わってしまった人間性というのは、その後再び良い方向へ変わることはマレだからです。それなのに、我慢をして自分を押し殺し、心をすり減らして、日々強いストレスにさらされながら、とにかく「夫婦」という状態だけを維持することは、精神的にもひどいマイナス面になります。いつか、心が耐え切れなくなってしまうこともあるでしょう。例えば、妻の精神的な犠牲によって夫は楽をしているような状態もあります。しかしそれは公平で自然な状態とは言えません。

離婚はマイナスではありません。少なくとも、関係を維持する為に強いストレスにさらされるというマイナスが解消されます。また、一夫一婦制の日本においては、離婚しないと次のパートナーに出会うことは出来ませんから、この世の中に別に居るかもしれない、もっと自分に合ったパートナーとの出会いの機会が、常に失われているとも考えることが出来ます。一時の激情に身を任せて離婚を考えるのは早計ですが、もしも離婚を決意するに足る十分な理由があると自己分析出来ているのであれば、そしてそれを実行しようとしない理由が「離婚のマイナス面が怖い」というのであれば、離婚は決してマイナス面ばかりじゃないということを、もっと前向きに考えてみるべきです。